5.4 変数の仮定
変数の範囲を制限すると便利な場合があります. 例えば,変数を正の値や実数に仮定する場合など です. このような制限はassume関数を使って行うことができます. 変数の仮定を行うために次 の4つの関数が用意されています.
assume additionally about unassume
これらの関数は目的の変数に特別な条件を設定したり,条件の情報を取得するためのものです. 関 数“assume”は変数の条件を設定します. 関数“additionally”は条件を追加し, “about”は条件 情報を取得するための関数です. 関数“unassume”は変数の条件を消去します. 仮定に関する関 数の引数としては次のようなものが用意されています.
real complex integer positive negative nonzero
これらの関数や引数の入力は数式モードで行います. 入力した関数と引数は灰色で表示されます. 以下は変数xとyを実数,変数z を複素数と仮定しています.
x < y x <3 x̸= 0 x≤y x≥5 Im (z)>0 Re (z)<0 Re (z)̸= 0
仮定(条件)のデフォルトは複素平面です.変数は複素変数として仮定され,数式の解は複素解を 含みます.
◮ 変数に仮定(条件)を設定する
1. 数式モードでassumeと入力します. (自動的に灰色になります. )
2. カッコのボタンをクリックするか,または,キーボードからカッコを入力します. 3. 変数,カッコ,条件の順で入力し,計算コマンドを実行します.
◮ 計算
assume(real) =R
この仮定を実行後は,実数のみが計算されます.
◮ 求解 +解
x2=−1,解なし. x2= 1,解:−1,1
◮ 仮定(条件)を取り消して元に戻す. 1. 数式モードでunassumeと入力します.
2. カッコのボタン をクリックするか,または,キーボードからカッコを入力します. 3. 計算コマンドを実行します.
◮ 計算 unassume()
◮ 求解+ 解
x2=−1,解:−i, i x4= 1,解:−i,−1, i,1 他の例を示します.
◮ 計算
assume (positive) = (0,∞)
◮ 求解+解
x2= 1,解: 1 x4= 1,解: 1
Scientific WorkPlaceまたはScientific Notebookを閉じ,再度開いても,仮定を取り消して元に 戻ります.
◮ 現在の仮定(条件)をチェックする.
1. 数式モードでaboutと入力します. (自動的に灰色になります.)
2. カッコのボタンをクリックするか,または,キーボードからカッコを入力します. 3. 計算コマンドを実行します.
◮ 計算
about() = Global
この結果は,特別な仮定(条件)は設定されていないことを示しています.
◮ 変数に制約条件を設定する
1. 数式モードでassumeと入力します.
2. カッコのボタンをクリックするか,または,キーボードからカッコを入力します.
5.4 変数の仮定 111
3. 変数名,カンマ,条件の順で入力します. 4. 計算コマンドを実行します.
◮ 変数 nを正の整数と仮定する
• 式assume (n,positive)にカーソルを置き,計算コマンドを実行します.
式assume(n,positive) , additionally(n,integer),そしてabout(n)の順番で計算コマンドを実行 した結果を次に示します.
◮ 計算
assume(n,positive) = positive additionally(n,integer) = Type PosInt about(n) = Type PosInt
◮ 変数の仮定条件をクリアする
• 目的の変数を選択し,関数定義+定義の削除と操作します. または
• unassume (変数名)と入力し,計算コマンドを実行します.
◮ 関数定義 + 定義の削除 n
または
◮ 計算 unassume (n)
どちらかの操作の後, about関数を使って,変数nの状態をチェックします.
◮ 計算 about(n)
仮定されていません. nを整数に仮定した場合,n2は正の整数と認識されます.
◮ 計算
assume(n,integer) =Z about(
n2)
=Z∩[0,∞)
¯
¯n2+ 1¯
¯=n2+ 1
◮ 複素変数 z の範囲を制限する
• z の実数部と虚数部を仮定する
◮ 計算
assume (Re (z)>0) = (0,∞) +iR
additionally (Im (z)<0) = (0,∞) +i(−∞,0)
◮ 実変数xの範囲を制限する
1. xを実数に仮定します.
2. additionally関数を使って,xに追加の制限を行います.
◮ 計算
assume (x,real) =R
additionally (x <10) = (−∞,10) additionally (x≥ −10) = [−10,10)
◮ 求解+解
sinx= 0,解: −3π,−2π,−π,0, π,2π,3π